マッチングアプリで知り合った女性が実は・・・17歳だった?!年齢を知らずにした淫行は罪になるのか、否か

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みなさん、いかがお過ごしだったでしょうか。

どうも、れきをくん(@rekiwokun)です。

逆転優勝を飾った箱根駅伝の英雄である駒澤大学の石川拓慎被疑者が、マッチングアプリで知り合った17歳の女子高生と淫行行為をしたとして逮捕されました。

事情聴取では、「交際していた」や「18歳だと聞いていた」との供述もしているそうです。

今回の記事では、どんな場合に未成年者淫行として罪に問われるのかをお伝えしたいと思います。

では、今回の講義を始めます。

事件の概要

2020年10月下旬

マッチングアプリで2人は知り合う。

2020年12月20日

神奈川県川崎市多摩区のホテルで性交。

2021年1月17日

東京都世田谷区のホテルで性交。

2021年5月19日

神奈川県青少年保護育成条例違反の嫌疑で検挙。

石川被疑者が住む駒澤大学陸上部の寮を家宅捜索した結果、2人の間には金銭の授受はなかったそうです。

事情聴取では、「高校に通っていることは知っているが、年齢は18歳であると聞いていた」「交際している」と話しているそうです。

一方で女子高生側の話では、「18歳未満は利用することができないアプリなので、当初は18歳と年齢を偽り伝えていたが、後に17歳と伝えている」とのことでした。

2人の話は食い違う中での逮捕と家宅捜索です。

「みだらな性交」とは?

「みだらな性交」と解釈する上で根拠となる法令は、各都道府県が制定している青少年保護育成条例となります。

この条例は、各都道府県で一律で制定されているわけではなく、内容に多少の誤差があります。

そこで、警視庁では福岡県の条例に関する判例を踏み台にして、下記のように解釈指針を示し、警察全体の考えとしています。

みだらな性交又は性交類似行為とは、
青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいいます。
なお、婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある場合は除かれます。

「淫行」処罰規定 警視庁

では、実際にどの程度の誤差があるのかを東京都と広島県、そして本件の舞台である神奈川県の青少年保護育成条例を例にしてみてみましょう。

東京都の青少年保護育成条例

まずは東京都からです。

(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)
第十八条の六 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。

引用元:東京都青少年の健全な育成に関する条例

例えば、東京都の場合は性交、性交類似行為の定義が不明確です。

ただ青少年に関しては2条に定義があります。

(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 青少年 十八歳未満の者をいう。
 二 図書類 略・・・
 三 自動販売機等 略・・・
 四 広告物 略・・・

引用元:東京都青少年の健全な育成に関する条例

広島県の青少年保護育成条例

次は広島県を見てみましょう。

(淫行及びわいせつ行為の禁止)
第三十九条 何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。

引用元:広島県青少年健全育成条例 広島県法規集(広島県)

広島県の青少年保護育成では、教えることも見せることも禁止と処罰対象が広がっていることが分かります。

それでもやはり淫行やわいせつな行為についての具体的な定義はありません。

(定義)
第十五条 この章以下(第六章を除く。)において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 青少年 十八歳未満の者をいう。
 二 図書類 略・・・
 三 興行 略・・・
 四 がん具刃物類 略・・・
 五 自動販売機 略・・・
 六 自動貸出機 略・・・
 七 広告物 略・・・
 八 深夜 略・・・
 九 テレホンクラブ等営業 略・・・
 十 利用情報 略・・・
 十一 利用カード 略・・・
 十二 利用カード等販売業 略・・・

引用元:広島県青少年健全育成条例 広島県法規集(広島県)

東京都と同じで、青少年については15条にしっかりとあります。

神奈川県の青少年保護育成条例

では、最後にご紹介するのは本件の舞台である神奈川県です。

神奈川県の青少年保護育成条例は非常によく出来ていて感動を覚えるほどです。

(みだらな性行為、わいせつな行為の禁止)
第31条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
 2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
 3 第1項に規定する「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、同項に規定する「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゆう恥けん悪の情をおこさせる行為をいう。

引用元:神奈川県青少年保護育成条例 (昭和30年1月4日条例第1号)

どうだろうか、神奈川県の青少年保護育成条例は広島県のように東京都よりも規制の範囲が広くなっています。

さらに「みだらな行為」と「わいせつな行為」について定義がしっかりと書かれています。

例えば、警視庁発表の基準によれば、東京都と広島県であれば婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある場合での性交または性交類似行為であれば問題ないことが分かります。

しかし、神奈川県の場合はもっと厳しくなっており、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交はすべて禁止されているので、関係性が論点となることはありません。

このように各都道府県によって条例に差があるので、処罰の有無もかなり変わります。

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年齢の認識に関して

児童淫行事件において、加害者が必ずいう言葉があります。

「18歳未満だとはしらなかった・・・」

だいたいニュース記事が流れてくるたびに、「18歳未満だとはしらなかったと供述している」と書かれていると思います。

つまり、加害者の弁解としての常套文句であることが分かります。

年齢確認が不十分でも処罰される

これを防止するために、神奈川県では罰則の7項に防止策が規定されています。

つまり、年齢確認が不十分である場合でも処罰し、青少年の保護を強めるためです。

(罰則)
第53条 第31条第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
 2 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  (1) 略・・・
  (2) 第31条第2項の規定に違反した者
  (3) 略・・・
 3 略・・・
 4 略・・・
 5 略・・・
 6 略・・・
 7 第9条第4項、第10条第4項、第15条第4項、第22条第1項、第26条第1項、第27条第4項、第28条第1項、第29条、第30条、第31条第1項若しくは第2項、第33条又は第34条に規定する行為をした者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、前各項の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。

引用元:神奈川県青少年保護育成条例 (昭和30年1月4日条例第1号)

現在ではほとんどの自治体の条例で同じ条文となっています。

もちろん広島県も例外ではなく、48条7項に同じように年齢確認が不十分であったときの過失に関しても処罰の対象となる規定が明記されています。

(罰則)
第四十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
  一 略・・・
  二 第三十九条第一項の規定に違反した者
 2 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
  一 略・・・
  二 略・・・
 3 略・・・
 4 第三十三条の二第二項、第三十九条第二項、第四十条又は第四十一条の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。
 5 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
  一 略・・・
  二 略・・・
 6 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
  一 略・・・
  二 略・・・
  三 略・・・
  四 略・・・
 7 第二十八条第三項、第三十条第三項、第三十八条の五、第三十八条の七第一項、第三十九条から第四十一条まで又は第四十二条第二項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、前各項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

引用元:広島県青少年健全育成条例 広島県法規集(広島県)

年齢確認が不十分なときは処罰されない

さきほども言ったとおり、ほとんどの自治体で年齢確認が不十分な場合に処罰がされます。

しかし、一部の自治体では処罰されることがありません。

代表例が東京都です。

(罰則)
第二十四条の三 第十八条の六の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第二十八条 第九条第一項、第十条第一項、第十一条、第十三条第一項、第十三条の二第一項、第十五条第一項若しくは第二項、第十五条の二第一項若しくは第二項、第十五条の三、第十五条の四第二項又は第十六条第一項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第二十四条の四、第二十五条又は第二十六条第一号、第二号若しくは第四号から第六号までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

引用元:東京都青少年の健全な育成に関する条例

図書や映画館は年齢確認が不十分な場合にも同様に処罰されるのに対して、淫行行為に関しては含まれていません。

したがって、淫行行為を処罰するためには18歳未満であったと認識した上での故意犯のみが処罰されるということになります。

このあたりも各都道府県で大きな乖離があることが分かります。

まとめ

本件では①「みだらな性交」になるか、②「年齢」を確認していたか、の2点が問題となると考えています。

①「みだらな性交」となるか

本件では2人はマッチングアプリで出会っています。

交際関係にあったという供述はありますが、それが真摯であったのか、性交を目的とした都合の良い交際であったのかなどを2人の客観的な人間関係から明らかにしなければなりません。

そのためには2人の普段のやり取りの履歴や内容、会った回数やホテルにいくまでの経緯などのすべての状況を総合的に検討していく必要があります。

②「年齢」を確認していたか

2人が出会ったマッチングアプリのプロフィールの年齢を偽っていたことは間違いありません。

石川被疑者は「高校に通っていることは知っているが、18歳と聞いていた」と供述していますが、女子高生は「当初は18歳と伝えいたが、後に17歳であると伝えている」と供述しています。

この女子高生の供述の真実性がどこまであるのかは謎ではありますが、仮に真実だとすると実年齢を明かしたタイミングが性交をする前なのか、後なのかが大きな問題となります。

性交の前に年齢を明かしているのであれば、18歳未満であると確実に認識しているので東京都の青少年保護育成条例でも逮捕することができます。

しかし、性交前に明かしていないのであれば東京都の青少年保護育成条例では逮捕できません。

そこで、神奈川県の青少年保護育成条例で逮捕したのではないかと思います。

今回の講義はこれで終わります。

では、またお会いしましょう!

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