皆さんはODという言葉をご存知でしょうか?
ODというのは簡単にいうと薬の過剰摂取のことをいいます。
今回は、薬の過剰摂取で起きた事件を取り扱いたいと思います。
では、今回の講義を始めます。
事例の概要
住所・職業不詳の男性(58歳)と高校1年生の中国籍の女子生徒(16歳)を連れさっとして、未成年者略取の嫌疑で逮捕されました。
少し事案が複雑なので、少し詳細にみていきたいと思います。
10月頃
SNSで男性と女子生徒が出会い、やり取りを開始します。
11月10日
2人は大阪・ミナミのカラオケ店に訪れます。
その周辺の防犯カメラを分析すると、女子生徒が薬局でせき止めを含む医薬品を4箱を購入する姿や、ぐったりした様子で男に連れられて退店する様子が映っていたそうです。
11月11日
女子生徒が薬物の影響で抵抗できない状況に乗じて、大阪市中央区の路上で車内に乗せ、茨木市の自宅マンションに連れ込んだ嫌疑があるそうです。
11月12日
男性は「知人が意識がなく呼吸していない」と119番通報。
救急隊員がマンションに現着した際には、男性の姿がこつ然と消えていたそうです。
12月7日
男性が茨木署に出頭し、逮捕されたそうです。
この時、室内で死亡が確認された女子校生の体内からは致死量に満たないせき止め薬の成分が検出されたそうです。
OD(オーバードーズ)について
まずは、OD、オーバードーズについてお伝えしていきたいと思います。
ODとは、医薬品を決められた量を越えて大量に服用することを指す言葉です。
別名、オーバードーズといいます。
特に10代、20代の若者の間で、総合感冒薬や鎮咳去痰薬などの過剰摂取が盛んに行われ、社会問題化しています。
厚生労働省の発表しているの資料によれば、薬物依存治療を受けた10代の主たる薬物は約10年前の2014年は危険ドラッグが約半数でした。
しかし、現在の2020年では市販薬が半数以上を占めるまでになっています。
ここからも分かるように手軽に入手ができる市販薬への依存が高まっていることが分かります。
濫用等のおそれのある医薬品
実態調査やアンケートなどのデータは1987年から蓄積されていることが判明するなど、医薬品の濫用問題は以前から存在しています。
この問題を解決するために、医療機関やNPOなどが尽力しているにも関わらず改善の兆しを見せることなく、むしろ悪化の一途を辿っています。
そこで改善をするのではなく、未然に防ごうという考え方に変わり、市販薬の中でも特に依存性が高くて濫用のおそれのある医薬品を「濫用等のおそれがある医薬品」として指定しました。
ここで重要なのは、基本的にどの医薬品も常日頃から常用的に使用していると、依存性が生じてくることがある点には留意する必要性があります。
指定された医薬品
- エフェドリン
- コデイン
- ジヒドロコデイン
- ブロモバレリル尿素
- プソイドエフェドリン
- メチルエフェドリン
これらの成分の多くは総合感冒薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用内服薬などに配合されています。
そのため該当する医薬品を無闇矢鱈に多く購入しようとする人も多くいます。
そのため現在では、必要以上に購入しようとしている人に対しての声掛けの実施や、使用用途の確認などがされるようになっています。
ODをやめたいと思っている人へ
ODは薬物依存症で、れっきとした病気です。
ただ、ODを始めたのには原因が必ずあります。
その原因を誰かに話したり、相談をすることがODをやめることに繋がるかもしれません。
よく身近の人に相談をしようという人がいますが、身近の人に相談ができないから抱え込み、そのしんどさやツラさを和らげるためにODをするわけです。
なので、身近の人に相談をしようとはいいません。
専門家の人に話をすることをおすすめします。
専門家には、法律上、守秘義務が徹底的に課されていますので、承諾無しに話した内容が外部に漏れることは絶対にありません。
相談窓口
精神保健福祉センター、各都道府県薬務課等
※つらい気持ちやODをやめたくてもやめられないことについては精神保健福祉センターに、その他薬物乱用に関するご相談は各都道府県の薬務課等にご相談ください。
つらい、消えたい、死んでしまいたい、と思ったら(まもろうよ こころ)
あなたをサポートするためのさまざまな相談窓口があります。電話で話しにくいと思ったときはSNSで相談してみませんか?
孤独 ・孤立で悩まれている方へ (孤独・孤立対策ウェブサイト「あなたはひとりじゃない」)
誰にも頼れず、ひとりで悩みごとをかかえていませんか。
いくつかのご質問に答えていただくことにより、あなたの状況にあった支援をチャットボットで探すことができます。
さまざまな相談窓口を用意しておりますので、つらい時は相談してみてください。
まとめ
インターネット上での活動を長くしていると、様々な人に出会うことがあります。
中には、こちらの心が苦しくないような事件に遭われた方もいらっしゃいます。
ODをしている人のお話をお聞きすると、そういった絶対に身近の人には言えない暗い過去を持っている人や精神的に耐えれないまでに追い込まれている人等の状況は様々でした。
どんな状況でさえ、その人にとっては耐え難いもので、そのためにOD等をしているわけです。
頭ごなしに否定するだけの人もいます。
もしそういった方と話をする機会があった場合は、否定するのではなく、きちんと受け入れて話を聞いてみて欲しいと思います。
今回の講義はこれで終わります。
では、またお会いしましょう!